感動の山 権現岳 赤岳 
八ヶ岳の主峰 赤岳山頂
1973年9月22日〜24日
ルート平面図
省略



ルート断面図 拡大
八王子⇒小淵沢⇒甲斐小泉駅→カエル岩 三ツ頭登山口→鐘掛松→親子岩→木戸口公→三ツ頭→権現小屋(泊)→権現岳→キレット小屋→赤岳→信教時尾根→牛首→地獄谷→美しの森→清里⇒小淵沢⇒八王子

 22日夜メンバー4人、夜行で八ヶ岳に向かう連休なのできっと電車は混雑していると思っていたが案の定八王子のホームは混雑している。山に行く格好をしている人に混ざって軽装でカメラを持っている人が意外と多く居る、暫らくホームで待っていると新宿発23時55分の列車は始発駅新宿で乗れない人がいるので一本前の列車上諏訪行きを利用して下さいと言う内容の放送がある

 上諏訪行きの列車がホームに入ってきた私たち4人は元々上諏訪行きに乗るつもりでいたので直ぐに乗車する準備でいたのだが満員の為乗車できそうにも無いので後方に移動してみたがやはり満員で乗れそうも無い。仕方が無いので一番乗れそうな所で無理やり乗り込む。どうにか4人乗り込むことが出来る。S「Tさん乗れたかいー!」「乗ったよー!」「マイッタネー!」などと声を掛けながら4人乗ったことを確認する。

 足の置き場とザックの置き場の確保がなかなか決まらない、こんなに混雑しているのでは小淵沢まで立ったままで行く事になりそうだ。列車は大月を過ぎて塩山に着くと丁度前の席に座っていた4人が降りたので私たち4人が座れる事になったここで10分ほど停車している。約100名ほど降りたみたいだ。おそらく乾徳山、大菩薩方面に行くのだろう沿線で一番人気があるので登山者が多いのは納得出来る。座って行く事が出来たが眠る事は出来ず、小淵沢まで何度か停車して3時58分小淵沢に到着する。

 此処で半数以上の人が降りてしまったみたいだ、ホームに下りて見るとSLの記念走行が明日まで有るので八王子のホームに大勢カメラを持っていた人達の目的がSLの撮影と解った。ドサドサッと靴音を轟かせて隣のホームに止まっている列車に乗り込む。同じく此処でも列車は満員だった又立ったままで行く事になるのだが今度は次の駅、甲斐小泉で降りるので気にしないでいる。暗い夜空の中を走り始める10分ほど走ると止まった暗いので何処に停まっているのか解らない如何したのだろうと思っていると、前の方の車両ではホームに降りているらしかった。

 あわててドアーを手で開けてホームに出ようとしたがホームが無い?増結車の一番後部に乗ったのでホームよりはみ出しているのだ。仕方が無いので飛び降りる。どうやら4人無事に甲斐小泉駅に出られる、甲斐小泉で降りたのは私たちを含めて6人ほどで甲斐小泉から権現岳に登山する人はいないらしい。駅で5分程休み登山道を目指す。

 前方より白い犬が走り寄って来る。パンをあげるととても喜んでいる。駅から遠ざかり足元が暗くなって来たので懐中電灯を出して足元を照らしながら行く犬も一緒に着いて来る1時間程歩くとやっと山道となるが車道が続く、寝不足の為調子が悪いが天候は良いらしい段々と空が明るくなって来る、遠くに富士山の姿が確認できる、歩き始めて約2時間かえる岩のある十字路に出る

 直進が権現岳の登山口で左右方向は小淵沢より清里方面に行く林道となって此処で休憩をする。T氏はザックを枕にして寝てしまう、腹が空いてきたが寝不足で食欲がでないパンを食べたが喉を通りにくい。これより再び車道を進むと段々と山の中に入って行き、十字路より40分程歩いた所で鐘掛け松に着く、此処からはやっと登山道らしくなりキノコ狩で山に入っている人が数人いる、
 親子岩を過ぎ雑木林の中をどんどん登って行くと木の合間より富士山と南アルプスが見えて来る、親子岩より30分程の所で展望が良い場所に出る雲海に浮かぶ富士山その右手には南アルプスの峰峰が連なる雄大な景色を眺められる、自然と休憩になる各人カメラを出して撮影開始!...写真撮影を終えて今度は梨を取り出して食べ始める、水分が補給できてとても美味しく食べられる。 30分程休憩後再び登り始める、この辺りより本格的な登山道となりジグザグに登って行く途中3回ほど休憩をして登って行く。腹が空いて来たのでパンとミカンで空腹をしのぐインスタントラーメンを用意して来たのだが水を持って来なかったので調理できないし又お茶も飲むことが出来ずちょいと苦しい登山になる。再び登って行くT氏はどんじりで犬と遊びながら登って来る、

 暫らく行くと急にガレ場となり視界の開けた所に出る隣の尾根が目前に見えるしかし北東側はガスが一面に覆っていて気象の変化が見られる。此処で再び記念撮影をする。近くに水場がある事に成っていたのだが生憎涸れていて水の補給が出来なかった。仕方が無いので水無しで行く、ガレ場を過ぎ、山の中に入って行きどんどん進むと木の種類が変ってくる

 この辺りは唐松が多くなり足元にはアザミが群生している続いて笹が一面に繁っている所に出る、木戸口公園と言う所らしいさらに登って行くと白樺の木が目立って来る、急な登山道を登って行くと左前方に編笠山が見えて来たそれに続いて目指す権現岳も見えて来る、
 やっと目的が確認できたがかなり遠くだ、白樺の木の合間より権現岳、ギボシのピークを見るとこれからが本当の登山と成るのだと感じる。これより急登となり30分程で隣の尾根と合流する三つ頭と言う地点に出る。展望の良い所だ、北東側がガスが濃くなって来る。寝不足と、水が無いので苦しい登山と成ったが進まなければならず。
        
編笠山が近くに見えてくる 目指す権現岳も目前に 雲海上に富士山の雄姿
 

 

 サー出発と掛け声は元気だが起き上がる動作は元気が無い、此処からは目前に目指す権現岳を見ながら意外と平坦な稜線なので楽になった。眺めは良好で南アルプスや後方の中央アルプスの峰が良く見える、しかし北東側に聳えているはずの赤岳はガスに覆われていて視界0、甲斐小泉より歩き始めて9時間が過ぎている体力も相当疲れて来た、もう少しだガンバロウと励ましながら三つ頭より約90分鎖場に出るサー最後ののぼりだと元気を出して登ろうとするのだが足が思うように動かない、F氏は岩場になって急に元気が出たみたい最後の力を振り絞って岩場を登りきると直ぐ下に権現小屋がある。とうとう登って来たのだと一安心する。天候が変化してきて今にも雨が降って来そうになって来たので直ぐに小屋に入る。

 山小屋には50人ほどいて休息している。腹が空いていたので夕食の時間を聞くと6時からとの返事があり時計を見るとまだ4時なので2時間ほど待つ事に成るしかし今日は朝食にしろ昼食にしろまともに食べていないので山小屋で出してくれたお茶を何杯も飲みながらお菓子を食べたがあまり腹を満たされずラーメンを食べようカーと言うと全員食べよ!と言う事になる。

 お湯を入れて3分待って直ぐに食べ始める、暖かくてとても美味しく食べられる。これで腹が多少治まった。天気が良ければ外を一回りしてきたい所だが生憎雨になっている時々雲間より陽が差し込み夕焼け雲になっているのを窓辺より眺めている。6時ごろ夕食が出来たが人数が多いので3回に分かれる我々は2回目となる。夕食を済ませて後は明日の天候を祈るのみ。夕食後暫らく話し込んでいたが昨日の夜行で寝不足なので8時ごろには寝てしまう。

 9月24日  朝5時に目が覚める全員起きたがT氏はまだ寝ぼけている、山小屋の人に食事の支度をするので起きて下さいと言われ、布団を持って行かれてしまう外に出てみると雨はあがっていたが濃い霧が漂っている6時頃になると霧の合間より八ヶ岳の主峰赤岳が見えて来た。感動の山、の一瞬だ T氏もカメラを持って登って来る暫らく撮影をしてから小屋に戻り朝食にする、 私とF氏は山小屋の食事で、T氏とI氏はカップラーメンの朝食になる、食事を済ませて出発の準備をして外に出ると先ほどの霧はすっかり消えて太陽が輝いている権現岳山頂で暫らく記念写真を撮ったりして過す7時30分頃赤岳を目指して稜線を行くと直ぐに長い梯子を降る、登って来る人がいるので少々待たされる、赤岳までキレットの縦走徒なる意外と楽なアルペンムードの登山となる、

 昨日と比べると今日はコンデションがいいので足取りも軽く余計気持ちが良い。旭、ツルネのピークを通過して目指す赤岳が目前に迫って来る。山の木は少々紅葉していたが未だ見ごろは先みたい赤岳より西に伸びる稜線上の中岳はおもちゃの山と言った感じの小さな小山でとっても印象に残る。今日はF氏が100m程先行しているコンデションが良いみたい、

 360度の展望の景色は何時まで見ていても飽きることが無い素晴らしさだ。特に目前の稜線上には八ヶ岳の主峰に相応しい赤岳の雄姿が迫って来るのは壮観だ。まもなくキレット小屋に降る分岐に出る私とF氏が飲み物を買いに降り先のピークで待ち合わせにする、小屋まで降りコーラを買い飲んでいると山小屋のご主人がこの下のキャンプ場よりの赤岳は良い写真になると教えてくれたので早速キャンプ場に降って赤岳を仰ぎ見る

 確かに雄大な赤岳の姿に感動する、主峰赤岳の右に大天狗、小天狗の奇峰が聳え立っている。稜線に戻り暫らく行くとT氏とI氏が前方を歩いているので急ぎ足で追いつき小休止とする、先ほど買ってきたコーラとジュースで喉を潤す、いよいよ赤岳の登りとなり岩を攀じ登り高度をグングン上げる赤岳山頂は目前に迫って来る。

 T氏とI氏は急にペースが速くなる180m程差がついてしまうがゆっくり写真を撮りながら登る、直ぐに帰りのコースの信教寺尾根の分岐に着く前方の二人はもう既に赤岳山頂に着いている様子だ私たちはここにザックを置いてカメラのみ持って赤岳山頂まで登る15分程で赤岳2899mの山頂に到着する山頂は二つのピークがあり北のピークには山小屋がある山頂で全員合流する。

 記念に全員で写真を撮って貰ったが少々シャッターぶれに成ってしまった。山頂には大勢の登山者で賑わっている山頂での気分の良い事は言うまでも無いが360度の展望は高山でしか味わう事ができない。これからは降るのみなので気持ちも楽になるさらに昨日の登山より睡眠も充分とってあるのでベストコンデションだ。ザックを置いてある真教寺尾根の分岐まで降り振り返り見る赤岳は名残惜しい感じだ。

        
阿弥陀岳と中岳 キレットから 赤岳からの横岳 赤岳山頂で祈念撮影
 

 腹も空いて来たので此処で昼食とする今日は権現の山小屋から水を貰って来たのでお湯を沸かしインスタントラーメンを作り食べる。山で食べるラーメンは格別に美味しい残ったお湯でお茶を入れて食後のティータイム空気良し、眺め良し、全て良し!!。F氏が一番食欲が有る十分食事と休憩を取ったので元気良く出発する、急な岩をジグザグに降り、

 高度をグングン下げて行く途中何度か小休止をしながら降って行くと次第に平坦な降りとなって来る頃牛首尾根の森に入って行く自然と早歩きになってしまう八ヶ岳の主脈が遠くになる頃牛首の頭に到着する。一日目の登りは2倍の時間を要したが、


 今日の降りは半分の時間で降ってしまう牛首にて小休憩とする。再び尾根道を下山して行く途中でT氏は道を反れて地獄谷に入ってしまう何処かで合流するだろうとどんどん降って行くが次第に尾根道と離れて行きT氏は一人で苦戦しているみたいなのでF氏と二人で沢に降りて行く事にするI氏とは尾根道をこのまま行き美しの森で落ち合う事にする。

 ガレ場を100m程降ると崖になっていて降りる道が無いので木に飛びつき下に降りる丁度降りた近くでT氏と出会う尾根に戻りたいが崖を登るのは困難なのでそのまま沢を降る事にする。沢と言っても低木が繁っている水の無い沢で獣道となっている。この沢は牛首の頭より崩れ落ちてきた大小無数の岩と石で歩くのに苦労する。

 30分程降ると幾らか歩き易くなる2〜3の小沢と合流して滑らかになってくると背の高いアザミが多くなり足や体に当るととても痛い暫らくアザミに悩まされながら降るこの辺りから獣道がはっきり付いていて獣道を辿って下る2時間ほどでやっと林道に出られる。ホッと一息つく、水が無いので喉が渇き苦しい降りになった。

 林道に車があり人が居たので水を持っているか聞くとジュースならあるよ」といわれたのでジュースを分けてもらうジュースを飲みながら色々話をするとキノコ採りに来て帰る所なので良かったらトラックの荷台に乗っていきなさいと言ってくれたので美しの森まで乗せてもらう事にする

 林道を歩いたら2時間程の道程なので助かった。美しの森で降ろしてもらい待ち合わせの羽衣の池に向かおうとしたら丁度I氏が降って来た所に出会った15分程前に着いたとの事でよいタイミングだった。此処で牛乳とうどんを食べる清里駅まで歩いて30分電車の時刻には間に合うので歩く事にする。I氏だけバスで行くと言うので再び分かれての行動になる。

 バスはまだ来ていないので先に歩いて清里に向かう途中でバスに追い越されるが歩きも又良いものだ清里駅で4人一緒になり混雑している列車に乗り込み帰路を辿る。